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レジンを冷凍冷蔵庫で保管すべきでない理由


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最近、レジン(主に2液性のエポキシレジン)を、冷凍冷蔵庫で保管するという記述をネット上で見かけます。個人的に、これは危険だと考えているので、記事化しました。

結論から言うと…。

・レジンは毒物なので、健康被害の可能性が高く危険 ・冷凍冷蔵庫に入っていると、誤飲の可能性があって危険 ・そもそも保管する意義が薄いかもしれない

3行でまとめると以上です。以下は、長文なので、閲覧にご注意を…。

◆ そもそも保管する意義が薄いかもしれない

レジンを冷凍冷蔵庫で保管するという技があるそうです。2液性のレジンは、主剤と硬化剤が熱反応を起こしながら硬化する特質なので、余ったレジンなどを、冷蔵、もしくは冷凍することで、熱反応を抑えて、次回に使えるようにするという処理。また、冷たい場所で保管して、レジンの劣化を防ぐ意味もあるようです。

でも、冷蔵・冷凍すると、レジンが吸湿するので、これって、意味があるのかなぁと、個人的に思います。どのみち劣化は避けられないし、かえって気泡等を増やす原因にもなりかねない…と。

◆ 冷凍冷蔵庫に入っていると、誤飲の可能性があって危険

昔、冷蔵庫に入っていたスポーツドリンクを飲んで、吐き出した経験があります。そのスポーツドリンクの容器の中は、母親が詰めた化粧水だったんです。

基本的に、冷凍冷蔵庫は食品を保存するものなので、誤飲の可能性がある、別のものを入れるべきではないと考えます。

例えば、透明なエポキシレジンが冷蔵庫に入っていた場合、水飴のようなものと誤認して、指ですくって、なめてしまう可能性だってありますし、冷凍保存された場合なら、氷と誤認して摂取する危険もあるでしょう。(「そんなヤツおらんやろ!」とツッコミがあるかもしれませんが、家庭や飲食店等では、別のものと誤飲するケースは、毎年多く発生しています。水と、匂いの強いはずの塩素水を間違うケースもありますから…。)

もしも、誤飲した場合などは、中毒110に電話を。別ブログで記事を書いてます。

» 知っておくと便利な「中毒110番」 | ミニものblog

◆ レジンは毒物なので、健康被害の可能性が高く危険

エポキシ樹脂、エポキシレジンについて言及しておきましょうか。

毒物及び劇物取締法をはじめとする各種の法律で、指定された化学物質を、定められた割合以上に含まれた製品を製造・販売する場合、SDS(安全データシート)の提供が義務化されています。(MSDS、「製品安全データシート」とも呼ばれますね。国際的には、SDSという名称が、最近の流れみたいですけど。)

エポキシのレジンとして人気の、日新レジン「クリスタルレジン」を例に挙げましょう。

日新レジンのどこかにSDSがダウンロードできないと探したところ…。

» Q.安全データシート(S.D.S)がほしいのですが? | 日新レジン

Answer
弊社に連絡頂ければ送付いたします。
…と書かれていました。

どうやらダウンロードして入手はできない様子。そこで、クリスタルレジンの製品ページから、いくつか取扱説明書などのPDFファイルをダウンロードしました。

» クリスタルレジン 日新レジン株式会社

製品資料を見ると…。

レジンを冷凍冷蔵庫で保管すべきでない理由

※赤線は、筆者強調

いろいろと、有害な案内が…。全部で13項の注意書きがあるんですが、以下に全文抜粋。

1.取扱い場所には局部排気装置を設けて、蒸気を吸い込まないようにして下さい。 2.取扱い中は、皮膚に触れないようにして、保護めがね、保護手袋、前掛け、必要に応じて有機ガス用防毒マスク又は送気マスクを着用して下さい。 3.容器からこぼれた場合には、吸着しやすいものに染み込ませたのち密閉容器に回収して下さい。 4.取扱い後は、手、顔、首筋等を洗い、うがいを十分に行って下さい。 5.作業着などに付着した場合には、その汚れをよく落として下さい。 6.皮膚に付着した場合には多量の石けん水で洗い落とし、外観に変化や痛み、かゆみ等がある場合は直ちに、医師の診療を受けて下さい。 7.目に入った場合には、15分以上洗顔したのち、直ちに眼科医の診察を受けて下さい。 8.蒸気・ガスを吸い込んで気分が悪くなった場合には、空気の清浄な場所で安静にしたのち、医師の診察を受けて下さい。 9.誤って飲み込んだ場合は、直ちに医師の診察を受けて下さい。 10.保管に際しては、密栓し直射日光や火気を避け涼しく乾燥した場所に保管して下さい。 11.子供の手の届かない所に保管して下さい。 12.破棄する場合には、産業廃棄物処理業者に委託して下さい。 13.当社で指定した以外の材料と混合しないで下さい。

※赤文字は、筆者強調

レジンから出るガスや蒸気は有毒性が高いことがわかります。だから、換気、保護メガネ・マスクの着用、うがい等が必要なんですね。

正直、レジンと食品を同じ場所(それも狭い密閉空間)で保管するというのは、かなり怖い。同じ理由で、もしもレジン液を、寝室などで保管されている方がいらっしゃるならば、別の場所にレジンを移動させて保管するべきでしょう。(これは有機溶剤を含む、塗料などの保管にも言えますが…。)

もう少し、詳しく資料を見てみると…。

レジンを冷凍冷蔵庫で保管すべきでない理由

※赤線は、筆者強調

クリスタルレジンの主成分は、主剤が「ビスフェノールA」、硬化剤が「変性脂環式ポリアミン」とわかります。

まずは、ビスフェノールAから。厚生労働省の公式サイト内で、このビスフェノールAについて、注意喚起のページがあります。

» ビスフェノールAについてのQ&A|厚生労働省

2010年のスラッシュドットの記事では、カナダのビスフェノールA規制強化に関する情報が…。

» 「ビスフェノール A」、カナダで有毒物質認定される | スラッシュドット・ジャパン サイエンス

そして、硬化剤。変性脂環式ポリアミンについては、安全衛生情報センターの以下のページが参考になります。

» エポキシ樹脂の硬化剤による健康障害の防止について

硬化剤も、かなり毒性が高いことがわかりますね。変性脂環式ポリアミンって、たぶん主にジエチレントリアミンを指すと思われるので、以下に、安全衛生情報センターの製品安全データシートを貼っておきましょう。

» 安全衛生情報センター:化学物質:ビスフェノールAジグリシジルエーテル » 安全衛生情報センター:化学物質: ジエチレントリアミン

どうしても、レジンを冷凍冷蔵庫で保管したい場合は、レジンの保管専用とした冷凍冷蔵庫の導入をオススメします。