UVレジン液を正しく扱うためのUV(紫外線)の基礎知識
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近年、ホビー分野にも、紫外線硬化型の樹脂素材が台頭しています。『光硬化パテ』や『UVレジン液』などが、その代表でしょうか。
紫外線(UV)を浴びると、硬化する素材です。従来の「主剤」・「硬化剤」混合の熱硬化型タイプに比べて、硬化時間が短く、作業性の効率化が図れます。
今回は、そういった紫外線硬化タイプの素材を扱うための、紫外線の基礎知識を…。
◆ そもそもUVレジン液は、なぜ紫外線を浴びると硬化するのか?
2液性のレジンは、「主剤」と「硬化剤」を混ぜることにより、熱反応を起こして、硬化するようになっています。2液性のレジンは、気温の高い夏に硬化が早く、気温の低い冬に、硬化時間がかかるのは、このためです。(2液性のレジンのヘビーユーザーの方のなかには、タオルウォーマーなどの熱源のある機器を使用して、硬化時間を短縮される方もいらっしゃいますね。)
では、なぜUVレジンは硬化するのか?
紫外線硬化樹脂素材の中にも「主剤」と「硬化剤」にあたる成分が一緒に入っています。その「硬化剤」に該当するのが、『光重合開始剤』です。
光重合開始剤に、紫外線を照射すると、重合という反応が起きて、紫外線硬化型樹脂は、硬化するようになっています。
ちなみに、光硬化型素材の重合は、ざっくりと分けると「ラジカル重合」と「カチオン重合」の2種類があり、現状、手芸屋さんや、模型屋さんで販売されているUVレジン液は、「ラジカル重合」タイプです。コストの問題などがクリアになれば、将来的には、収縮や硬化不良が少ない「カチオン重合」型のUVレジン液が登場するかもしれません…。
◆ 紫外線(UV)と言っても、範囲は広い
ここからが本題です。
UV(ユーブイ)とは、Ultra Violet(ウルトラ バイオレット)の略で、日本語で言えば『紫外線』。
紫外線は、携帯電話やラジオの電波と同じく、電磁波の一種です。
以下に、電磁波の図表を作ってみました。
電磁波の単位は、『nm(ナノメートル)』です。
学会などの組織によって、違いは多少あるのですが、10~380nm、もしくは、10~400nmの電磁波を『紫外線』と呼んでいます。
紫外線は、波長の短い『遠紫外線』と、波長の長い『近紫外線』に分類でき、その『近紫外線』も分類すると、波長の短い順から、『UV-C』・『UV-B』・『UV-A』の3種類。
UVレジン液に含まれている『光重合開始剤』は主に、紫外線の中でも波長の長い『UV-A波(315~400nm)』(…のどこかの波長)に反応するようです。
◆ UVライトにも、波長の違いがある
紫外線(10~400nm)を照射するランプやライトなどの製品は、発する主な波長に違いがあります。
Amazonで、いくつか調べてみました。
なお、「LEDだとUVレジン液は硬化しない。」と主張される方もいらっしゃるようですが、そんなことはありません。紫外線を照射するLEDを選べば良いだけです。ちなみに、以下の製品は、全てLEDを選びました。
・395nmの製品
・385nmの製品
・375nmの製品
・365nmの製品
このように、製品によって違いがありますね。
UVレジン液の商品レビューなどを読むと、同じメーカーの同じ製品(UVレジン液)のはずなのに、『ベタベタして、あまり硬化しません。』というレビューもあれば、『ちゃんと硬化します。』というレビューもあったり…。
こういった状況になるのは、もちろん製品の個体差(品質のバラツキ)の問題も否定できませんが、使用しているライト・ランプの波長の違いも大きいのでは…、と推測できます。
例えば、365nm付近で硬化しやすいUVレジン液に、395nmの長い波長をメインに出す紫外線のライトを使ったりすると、硬化不良になりやすいのかもしれません。
ちなみに、最近よくみる「UVふとんクリーナー」の紫外線は、UV-B波みたいですね。
性能表を見ると、253.7nm。殺菌灯などと同じようです。爬虫類や両生類の生育用のランプなども、UV-B波でしょうか。
この辺りの短波長の紫外線だと、UVレジン液の硬化には使えないと思います。
UVライトを購入する際は、こういった予備知識を持っておくと便利でしょうか。
個人的には、設備があれば、各社のUVレジン液の硬化しやすい帯域を調べてみたいんですけどね…。