ミニもの(旧)

1/12や1/6スケールのミニチュアを製作しています

ミニチュアの作り方一覧はこちら → ミニチュアの作り方

「真空保存庫」で型取り用透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦


スポンサーリンク

今回は長文ですのでご了承を…。

透明シリコンを使ってレジン成形用の型取りをする方法でも登場していますが、ボークスの透明シリコンを愛用しています。コストパフォーマンスや幅広い用途に使えるので、かなり満足度の高い素材なのですが、唯一の欠点が、気泡が多いことです。

そこで、透明シリコンの気泡をなくすために、シリコンやレジンの気泡対策に「真空保存庫」を購入|できるミニチュア教室(アメブロ版)でも書きましたが、『真空保存庫』という容器を買いました。(容器が角型のほうが使いやすいのでしょうが、耐圧と製造コストを考えると、丸型なのは致し方ない点でしょうね…。)

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

価格は、別売りの専用ポンプも含めて1700円ほど。結論から述べると、投資額1700円程度で、透明シリコンの気泡をなくすことに成功しました。

以下がその過程です。

硬化剤を混ぜた透明シリコンを、真空保存庫に入れます。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

専用ポンプを取り付け。取り付けといっても、カチッとはまるわけではありません。部位に押し当てる感じです。ポンプの取っ手を昇降して、容器中の空気を逃がします。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

しばらく放置。3~5分くらい放置しました。フタを開ける場合は、中央のボタンを押し続けて、容器の中に空気を入れないと気圧差で開封できませんので、ご注意を。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

容器から取り出してみました。次に、これを型に流しこんでみます。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

まだまだ気泡が目立ちます。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

再び真空保存庫へ投入。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

ポンプで空気を抜いていると、沸騰したようにブクブクと泡立ちます。これは期待できそう…。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

1日真空状態で、容器内に放置して取り出したのが↓こちら。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

かなりデコボコして、気泡も内包したままでした。うーん、期待はずれ。まぁ、完全に真空になるわけでないし、しかも手動での減圧だとこれが限界なのかもしれません。

いつもは少量ずつシリコンを流しこんで、ドライヤーをあてて気泡を抜くという手順を行なっています。まぁ、この方法でも細かい気泡は抜けませんけど、ある程度の大きな気泡は抜くことができます。

今度は、通常行なっているこのドライヤー法と真空保存庫の合わせ技を実施へ。そして、真空保存庫内に、真空状態で型を放置すると、張力が働いて、デコボコになることも判明したので、真空状態から解放してみることにもします。

1.型にシリコンを流す

2.真空保存庫に入れて、ポンプで空気を抜き、1分程放置して取り出す

3.ドライヤーの風と熱である程度の気泡を抜く

4.もう一度真空保存庫に入れて、ポンプで空気を抜き、1分程放置して取り出す

5.ドライヤーの風と熱である程度の気泡を抜く

…という作業を行いました。あとはシリコンが固まるのを待つのみです。

その結果が↓下記です。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

画像では、わかりにくいかと思いますが、見事に気泡が抜けています。ちょっと感動。

この型は、薄く平べったいので、気泡は抜きやすい形状ではあります。もうちょっと深い型ではどうでしょうか…。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

これもキレイに気泡が抜けています。この脱泡方法は成功と言えるでしょう。

ちなみに普段の型は↓こんな感じです。

型取り用の透明シリコンの簡易真空脱泡に挑戦

無数の細かい気泡があるので、あまり透明感がありません。

手動ポンプを使うので、労力はかかりますが、なかなかの成果です。

ざっと考えた透明シリコンの気泡をなくす&減らす利点は…

1.シリコン内の空洞がなくなり、型の変形防止・強度アップになる 2.紫外線硬化系の素材が扱い易くなる

1を少し細かく説明すると、シリコンの中に空洞があると、型が変形する可能性が高まりますし、脆くもなります。裂けた気泡の中に、レジンが流入して型の寿命を縮める事態もあるでしょう。

2に関しても具体的に説明すると、光硬化パテやUVレジン、ジェルネイルなど、紫外線を浴びることによって硬化する材料を、注型材に使用する際に威力を発揮すると思います。気泡が多いと光が乱反射して、硬化不良を招く原因になりかねません。こういった紫外線硬化系の材料が使えるのも、透明シリコンの利点でもありますから。

今回は、透明シリコンで実験してみましたが、透明シリコンよりも硬化時間の長い、エポキシ系のクリスタルレジンの気泡抜きにも、この脱泡方法は有効だと考えられます。(まぁ、型の構造・形状とか考慮しないといけない点もありますけど…。)

個人的には、今回の実験結果は満足できるものでした。私の場合、ミニチュア製作という事もあって、シリコンを流し込んだ型枠ごと、真空保存庫に投入できるのも幸いしていると思われます。

さて、この結果を踏まえて、さらに実験したいことがあるのですが、それは後日試してみたいと思います。(※その実験は、100円ショップのエポキシ接着剤で透明パーツを作るにて公開中です。)

今回使ったのは、上記の2点なのですが、最初からポンプも付属した↓下記のような製品もあります。(値段は高めですけどね。)